Uberというスマホアプリをインストールした。GPSで近くにいるタクシーを探して呼び出せるシロモノだ。しかし、現時点での呼び出し可能エリアは、東京の中心部だけ(山手線の内側程度)なので、なかなか使う機会がなかったが…。
ある日、新宿のキャバクラの女のコをアフターに連れ出したときだ。
「カレシはいるの?」
「いないんだよね」
「マジで?」
「いないよー。いたらアフターなんてしないし」
歌舞伎町のバーでしっぽりいい雰囲気になったが、過去の経験上、キャバ嬢の攻略は甘くない。ひとまず紳士的に振る舞おうと決めたとき、ふとUberのことを思い出した。
「よし、じゃあ今日はもう遅いし、タクシー呼んであげるから帰りな。タクシー代はオレが持ってあげるから」
Uberでタクシーを呼ぶと、代金は運転手に払うのではなく、あらかじめ登録したクレジットカードからの引き落としになる。このスマートさ、ポイント高いでしょ?
アプリを起動し、バーの場所を入力。10分ほどで店の前にタクシーがやってきた。
「じゃあ気を付けて」
「ありがとう。また連絡するね」
彼女が去って20分後、目的地にタクシーが到着したらしく、クレジットカード決済の確認メールが届いた。
『3543円。Uberをご利用いただきありがとうございます』
そこには、降車場所の住所が番地まで詳細に記載されている。なるほど、こんな明細が届くんだ…。でも待てよ!?何気にグーグルマップで調べてみると、降車場所にはマンションが建っていた。ここが彼女ん家? もちろん自宅の少し手前でタクシーを降りた可能性もあるが…。
翌日の深夜、その住所の場所へ。自分でも物好きだなぁと思いつつ、マンション前に
張り込んだ。偶然を装ってしっぽり、なんて展開も…。深夜3時過ぎ。一台のタクシーがやってきた。おっ、彼女だ!というか、男と一緒じゃん!タクシー代返せ!