会話のタネ!雑学トリビア

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アナ雪を観たブサイクな方々に、ありのままの自分でいいと思ってるのか聞いてみた

映画『アナと雪の女王』が大ヒットしたおかげで、テレビ&ラジオは、「ありのーままでー」という曲であふれている。自分を肯定して生きていきましょう的な内容の歌だ。まあ、それはよいとして、では映画館でアナ雪を観たばかりの人たち、特にブサイクな方々も、ありのままの自分でいいと思ってたりするんだろうか。映画館前で待つことしばし、鶴瓶そっくりな若い女性が1人で出てきた。
 つるべに激似で、さらに髪の毛ボサボサ。ありのままではマズイと思ってるはずだが…。
(●……自分 ○……女子)
●アナ雪を観てきた方にアンケートをとってまして。
○はい?
●どうでしたか?
○ああ、すごい感動しました。けっこう泣いちゃったし。
●あの映画や音楽に影響を受けた感じはあります? ああ、私もありのままでイイんだ、みたいに。
○まあ、そうですね。
●そうですか。でも、ありのままだとちょっと厳しい部分もありませんかね。
○え?
●いや、失礼ですけど、ありのままのご容姿では大変なこともあると思うんですよ。
○え?
●異性から相手にされないとか、そういうことなんですけど。すみません不躾な質問で。
○……。
●ありのままよりは、ちょっと着飾ったりメイクを変えたりするほうがいいと思うんです。
○アハハ。失礼ですね。
●すいません。
○異性に向けて自分を変える必要はそんなないと思います。
●それはどういうことですか?
○見た目だけじゃないと思うんで。人って。もういいですか?
 人は見た目だけじゃない。正論だけど、見た目がかなり重要なのもまた現実だ。髪型ぐらいは整えたほうがいいのに。続いて、やたらと胸の谷間を露出したアジアン隅田似が、パンフレットを眺めながらゆっくり歩いてきた。
●すみません。アナ雪をご覧になりましたよね?
○え?
●ちょっと取材してまして。質問よろしいでしょうか。
○ああ、はい。
●ありのままの〜の曲、やっぱり良かったですか?
○ああ〜、すごい良かったですよ。
●ご自身もありのままで生きていこうって思いましたか。
○ですね。
●でもありのままの容姿じゃないほうがいいですよね。
○へ? いいですよこのままで。別に不自由してないんで。
●ホントですか? ありのままで不都合はないんですか?
○……。(小走りで去る)
 このインタビューによって『やっぱりありのままじゃいけないんだ』という意識が芽生えてくれたことを期待しよう。
 別の映画館でアナ雪上映後に出てきたのは、エラの張ったオカマちゃん風女性だ。スウェットみたいな寝巻きっぽい服を着ている。
●すみません、ちょっと取材させていただいてよろしいでしょうか。
○……。
●ありのままで〜って曲を聴いてどう感じましたか?
○そうですね、やっぱすごいイイ曲だなって思いましたよ。
●歌詞にも共感できるみたいな。
○ああ、ハイ。いい歌ですね。
●ありのままで、って部分ですかね。
○そうですね。自信もっていいんだなぁて。
●失礼ですが、自信を持ってはいけないと思います。
○はい?
●ありのままで自信を持っていいのは生まれながらの美人さんとか、スタイル抜群の女性だけだと思うんですよ。アナタは失礼ながらそうではないとお見受けしますので。
○……。
●だからありのままじゃなくて、服装を変えたりして、見た目をよくするべきだと思います。
○なんですかそれ。
●すいません。客観的事実を言ったまでで…。
○アタシ別にこのままでいいです。
●え、ホントですか?
○いいです別に。このまま生きてくんで。
●いやそれは…。
○アナタにそんなこと言われる筋合いないので。
 顔がマズくても服装をしっかりすればなんとかなるのに、というアドバイスのつもりだったのだが、少し意固地にさせてしまったようだ。
 続いて出てきたのは、ちびまる子ちゃんに出てくる野口さんみたいな、貧相で表情のないおブスさんだ。
●さきほどアナと雪の女王をご覧になってましたよね?
○……。
●ちょっと感想なんかを聞いてまわってるんですよ。
○はあ。
●どうでした? あの曲は良かったですか?
○レットイットゴーですか?
●はい、それです。
○良かったですよ。
●共感したりしました?
○そうですね。わりと。
●ありのままでいいんだ、って感じですか?
○そうですね。
●本当にそうお考えですか?
○はい?
●今後もありのままでいいんですか?
○…ちょっとわからないんですけど。
●その、見た目とかですね…。
○ああ、はい。
●色々と不自由されたと思うんですよ。ありのままで生きてきて。
○うーん。
●たとえば好きな男の人にフラれたとかですね。
○ああ…。
●その、言いにくいのですが、ありのままの容姿だと難しいことが多々あるだろうと思いまして。
○そうですか。
●それでもありのままでいい、とお思いですか?
○うーん。ワタシなりには、見た目とかに気を使ってるつもりではあるんですけどね。
●あ、そうなんですか。
○どう見えてるのかわからないですけど。
●まあ、そうですね…。はい。
○でもこうやって言ってくるってことは何か気になるんですよね?
●はい、正直言って。
○じゃあもっと女の子っぽくしたほうがいいんでしょうね。

●そうですね。ちょっと暗く感じましたので。
○はあ。わかりました。
 なんだかせつなくなってきたが、彼女にとっても有意義な会話だったことは間違いない。よりいっそうの努力に期待しよう。お次は丸々と太ったギャルちゃんだ。すっぴんなのか、眉毛がほとんどなく、細い目に上向きの鼻がこれでもかと主張している。さすがに自分でもイカンと気づいてることだろう。
●アナ雪、どうでしたか?
○なんですか?
●感想を聞いてまわってまして。
○へえ。オモシロかったっすよ〜。
●そうですか。やっぱあの歌が良かったですか?
○ああ〜、超良かった!
●良い歌ですよね。歌詞とか。
○そう、なんか泣けますよね。素敵だった〜。
●あの歌詞についてはどう思います?
○ありの〜ままで〜って。素敵でした。
●自分もそうやってありのままで生きていこうって思います?
○いや〜、それはナイですね。
●へえ。どうして?
○だってムリでしょ。アタシ、ありのままじゃ。
●アハハ。
○きゃはは、笑うところじゃないんだけど。整形したいですもん。
●整形してでも変わりたいんですか。
○だってそうでしょ? アタシのままじゃキツイですよ。
●どのへんがキツイんでしょう?
○もう全部。もっと痩せたいし、あと口元のほくろも取りたいんで。
●なるほど。じゃあありのままはイヤだと。
○嫌だ〜。あれは映画に出てくる可愛い子の歌なんで、あの子はそのままで良いだろうけどアタシはムリですね。
 映画は映画、自分は自分。ここまで割り切って考えられるなんて、実にあっぱれだ。拍手を送りたい。