会話のタネ!雑学トリビア

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スカイツリーの恩恵を受けれてない地元の居酒屋の理由が行ってみたらよくわかった

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2 0 2 0 年の東京五輪開催が決まり経済効果が何兆円だのと盛り上がっておりますが、この経済効果というのも怪しいもので、阪神が優勝するとウン百億、サッカー日本代表がW杯出場決めてもウン十億とか、その数字の出所がいまいち不明であります。
確かに数年前に阪神がリーグ優勝した際には熱狂的な阪神ファンのS編集長(当時部員)が富士そばにて「奮発して卵を2つ付けちゃおう」と息巻いてましたが、あれがウン百億もの経済効果をもたらすのかは甚だ疑問でありました。
同じく昨今では東京スカイツリー近辺の地元商店街への経済効果に期待が集まっています。周囲の道路や一部区間は整備されてすっかりキレイになっており、地元住民の士気が高まっていることが窺えますが、ふと見るとツリーのふもとに怪しい飲食店が一軒佇んでいるのが確認できました。
外観からは何屋なのか不明ですが、ディスプレイには「カレーライス辛い 3 0 0 円」とあり、隣に瓶ビールや謎の人形、郷土品、蜂の巣などが並んでおり何かしらの強いメッセージを発しています。
暖簾は絵柄なのかシミなのかどちらとも言えない味わい深い仕上がりとなっており、その暖簾を指先で軽く摘んでくぐり、ドアを開けて中をうかがいます。
すると席は20近くもありますが、客は眼帯をしたヤンキー風の若者が一人、ホッピーを飲んでおり、その横で店主らしき老人がクロスワードパズルの雑誌を熱心に熟読していました。
黙って着席して周囲を見渡すと、壁には30種類近いメニューが貼られており「ハムエッグ・ヤキトリ」「シャケカマ」「ぶり照焼き」など思いのほか豊富でした。とりあえず瓶ビールを頼んで真上を見上げるとクーラーの前で風鈴が揺れていたのですが、なぜか風鈴の紐に馬券が数枚ぶら下がっています。どういうことだろう?と思っていると、「チキショウ!」
という声と共に常連らしき中年男が入店してきました。何かイライラしているようで奥まで行き勝手に冷蔵庫を開けて瓶ビールを取り出して飲み始めました。店主は「久しぶり」と言うだけでクロスワードパズルから目を離しません。
どういうシステムなんだろう?と思っていると、しばらくして常連は「あ、栄養剤打ってくるの忘れた」と言って勝手に店を出て行きました。
その後、今度は金髪の中年男が来店。同じように勝手に冷蔵庫からホッピーを取り出してグビグビと飲み始めます。すると再び入口から「は〜気持ち良かった」という声がして、先ほどの常連が目をとろんとさせて戻ってきました。一体この短時間に何があったのか、怖くて聞けませんでした。
そこから今度は常連2人と店主の競馬談義が始まり、「お前のせいで外れた」とか「あれは八百長」とか「藤田はバカな騎手」などと激しい愚痴合戦が繰り広げられました。最後には「あの馬はバカだ」とか「あんな学習能力のない馬はダメ」とか馬の学力にまで八つ当たりする始末でした。どうやらイライラしている要因は競馬のようです。自分も競馬好きなので会話に参加しようと「どの辺で馬券買うんですか」と恐る恐る訊ねてみると「錦糸町か浅草」と金髪の常連が答えてくれ、そのあと早口でこの店から錦糸町ウインズまでの最短ルートの説明をしてくれたようですが、呂律が回っておらずまったく聞き取ることはできませんでした。
ちなみに店主曰く「競馬の間、昼12時から16時までは一旦店を閉めるから」とのことでかなりの筋金入りの競馬狂らしく、本来土日のその時間は最も観光客が多い時間帯だと思われますが、そんなことはお構いなしです。
そうこうしてるうちに今度はなぜか寝袋を背負った男が来店。この客も同じく奥から勝手に日本酒らしきトックリを手に取って着席。そして15分ほどで「ご馳走様」と言って料金も払わずに帰って行ったのです。どうやらこの店では常連のツケが基本らしく、結局その他の常連も金を払わずに次々と店をあとにしていきました。この流れなら自分も行けるかもと思い、席から立ち上がって「ごっそさん〜」と言って出口に向かうと背後から「 1 6 0 0 円」という店主の活きの良い声がしました。しょうがないので料金を支払い、ついでにスカイツリーの経済効果について尋ねてみると「まったく関係ねーよ。むしろ客は減るだけ。頭きちゃうよ。そのぶん競馬で頑張らねーと」と怒りを露わにしていたので、東京五輪の経済効果について尋ねるのは控えておきました。