会話のタネ!雑学トリビア

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客を客と思わぬ横柄な店ルポ

この世には、客を客と思わぬ横柄な店がある。勝手なルールを客に押しつけ、気に食わないことがあれば『帰れ!』と憤る店主ども。できれば近づきたくないものである。
 本ルポでは、そんなガンコ親父がいることで知られる店の接客を拝見し、その理不尽ぶりをミシュランしてみたい。千葉県柏市の西口を出て国道6号線に向かう直線沿いの左側に、問題のラーメン屋『R』があった。ガラス戸から中を覗けば、土曜のお昼だというのに客の姿が見えない。扉を開けたら威勢のいいオジサンの声に迎えられた。
「らっしゃいやせぃ!」
 カウンター内の厨房に、店主とおぼしき張本勲似(さっきの威勢のいいおっちゃん)と次長課長・河本似(従業員か?)が立っていた。他に奥さんらしき店員もいるみたいだ。奥には座敷も数席あるが、客はカウンターでビール片手に餃子をつつくオッサン一人だけだ。『私語禁止』とか、『店内ケータイ禁止』みたいないわゆる頑固オヤジの店にありがちな貼り紙などは見あたらない。平和でのどかなラーメン屋に思えるが……。
 カウンターに座ってメニュー表を開く。醤油、味噌、とんこつラーメンなどオーソドックスなラインナップが並んでいる。
「とんこつラーメンください」
「かしこまりました! 麺は固めがおすすめですが」
「じゃあそれで」
 おばちゃんに注文してからわずか2分後、目の前にとんこつラーメンがやってきた。
 ではいただこう。据え置きのおろしニンニクと辛味噌をちょこっと乗せて、割り箸を手に……。
「あのさ、味変わっちゃうっしょ」
 張本の声が飛んできた。こちらを睨んでいる。なんだなんだ。
「はい?」
「何で食う前に入れんだよ! それじゃオレの作った本来の味がわかんねえじゃん」
投入したニンニクと辛味噌のことを言っているらしい。そんなの客の勝手でしょうに。
「えっと、これ入れちゃダメなんですか?」
「ダメじゃねえよ」「え?」
「だからさぁ、まずはそのまま食うでしょ、普通は。なんで最初から入れんだって言ってんの」
 まあ、言わんとすることはわかる。ウチの奥さんも「一口も食べる前からマヨネーズかけるな」とか言うし。でも言っちゃなんだけど、たかがラーメンだしな。食いたいように食わせてほしいもんだ。張本はなにか忙しそうに厨房をうろつきながら、グチグチこぼしている。
「ったく、これだからよぉ……普通はそのまま食うよなぁ……わかってねえんだ」
 おばちゃん店員と河本はまるで『また始まったよ』とでも言わんばかりにそっぽを向いている。
「あの」
「ん?」
「なんでいきなりそんなこと言われなきゃなんないんですか?」
「あ? なんだ? ウチの味を食おうとしねえからだろ」
「だったら最初に『まずはこのまま食ってくれ』とか言ってくださいよ」
「なーに言ってんだ。普通はそのまま食いはじめんだからよ」
「そんな普通、聞いたことないですよ」
「ああ、もういい。帰れ帰れ。ちゃんとカネは払えよ」
 帰れって、まだなんも食べてないし!
「食べてるんだからまだ帰りませんよ。そもそも、入れられるのが嫌ならニンニクとか味噌とか、ここに置かなきゃいいでしょ」
「はいはい、わかったよ。いいから帰って」
「ニンニクはいつ入れればいいんですか?」
「そんなの途中に決まってんだろ。わからないヤツはいい。帰れ」
気分が悪いまま食べ終え、会計しようと伝票をレジに持っていく。おばちゃん店員は申しわけなさそうだ。
「すいませんねえ、あの人ガンコだから」
 この人も苦労してるんだな。ニンニクと味噌、こっそり隠しておいたほうがいいですよ。